~NPOメンバーリレーコラム vol.2~
ヴィオラ奏者・指揮者・弦楽器商の李善銘さんとのご縁に感謝!
2023年9月初旬、イマヌエルオーケストラ来日公演に向けたクラウドファンディングが進む中、「クラウドファンディングで寄付をしてくださるだけでなく、弦楽器を寄付したいというお申し出がありました」とシャイン・フォー・ユー事務局から一報が入りました。聞いてみると李善銘(Li Shanming)さんという神戸の方で、プリムローズという弦楽器商を経営なさっているということが分かりました。私がたまたまアマチュアのヴィオラ弾きであり、Facebookのグループ「ヴィオラ好き」で投稿を拝見していたこともあり、私が連絡を取ることになりました。
李善銘さん――ルーツは中国広東省や香港ですが、ご自身のお生まれは神戸市内。長じて日本に帰化し、今は日本国籍をお持ちです。東京藝術大学器楽科ヴィオラ専攻をご卒業の後、藝大講師、名古屋フィルハーモニー副首席ヴィオラ奏者などを歴任、現在は弦楽器店プリムローズ(神戸市)を経営なさるほか、プロ/アマチュアを問わずさまざまな演奏団体(関西、中部、四国など)のヴィオラ奏者/指揮者として活躍なさっていらっしゃいます。東京藝大時代に長く芸大バッハカンタータアンサンブルで演奏なさっていたこともあり、日本のチェンバロ/ピアノ/指揮(主にバロック音楽)の大御所、小林道夫先生とも懇意になさっているとのこと。
そんな李さんは、奥さまがバンコクで一時、日本語学校の教師をなさっていた関係から何度となくバンコクを訪問し、クロントイにも足を運ばれたことがある。あの悲惨なスラムの地に、このような子供たちのオーケストラができていることに驚いたし、是非支援をしたい――と言ってくださいました。そこで、李さんがお店で楽器を販売する際に下取りした中古楽器のうち、状態のいいものを調整した後に私たちに送ってくださることになったのです(前号コラム参照)。
李さんは、クラウドファンディングに参加してくださっていましたので、10月19日の東京公演のチケットはお持ちだったのですが、急遽、その前日のタイ王国大使館特別公演にもご招待させていただくことにしました。奥さまにも来ていただきたかったのですが、お仕事の都合でいらっしゃれなかったのが残念でした。ご招待といってもコンサートを聴けるということだけで、神戸からいらっしゃる李さんには交通費も宿泊費も自己負担ということになってしまい、申し訳なく思っております。
ところが、大使館公演を聴いてくださった李さんはイマヌエルの演奏に感動し、東京公演が始まる前に東京でお付き合いのある楽器店に走り、オーケストラ全員分の松ヤニ(弦楽器は弓の毛の部分――馬の尻尾でできています――の摩擦を大きくし、弦を大きく振動させるために、演奏の前に毛に松ヤニを塗るのです)を購入、東京公演の前にプレゼントしてくださったのです。さらに、メンバーの楽器を見て不具合の前兆を発見、リハーサルと本番の間の短い時間にほぼすべての楽器を点検してくださいました。
写真:
左)全員分の松ヤニを届けてくださった李善銘さん
右)本番直前に楽器を点検する李さん
李さんが寄贈してくださった楽器は東京公演で使わせていただいた後、メンバーが帰りの便で持って帰るのが難しく、シャイン・フォー・ユーで大事に預かっています。そして、少しずつではありますが、なるべく費用のかからない方法でバンコクに届けたいと思っています。この場をお借りして、改めて李善銘さんにお礼を申し上げたいと思います。
写真: 左)演奏会の後、指揮者トンさんと談笑する李さん 右)NPOメンバーが届けた李さんからのヴィオラをバンコクで受け取ったイマヌエルオーケストラメンバー
(コラム執筆:NPO法人シャイン・フォー・ユー理事/事業局・広報渉外局 望月 厚志)
この記事に関するご感想やお問い合わせはNPO法人シャイン・フォー・ユーまでメールでお送りください。 shineforyou.npo@gmail.com